カルロヴェッリ(「時間は存在しない」NHK出版)によると、同時性というものはある程度離れた場所では意味が無くなるらしい。何故なら、時間の進みは重力場の強さのみならず、運動速度によっても変わるからだ。これは絶対時間というものが存在しなければ確かに正しいだろう。しかしこの宇宙のビッグバンモデルが正しいなら、絶対時間は存在している可能性がある。ビッグバン以来、宇宙は無(つまり点)から広がり続けていると考えられている。その速度は不明だが、観測結果から少なくとも今は加速度膨張していることがわかっている。この膨張速度は理論から導かれてはいない。あくまでも遠くの天体の赤方偏移の観測結果に基づく結論だ。宇宙空間そのものを調べた結果、あるいは膨張宇宙モデルの理論から導かれた結論では無い。そもそも宇宙空間とは何か。物質の重力場が生み出しているものなのか。つまり蜘蛛の糸がその巣を形成しているように、蜘蛛の糸の役目を重力場という物質の属性が宇宙空間を形成しているのか。それとも海に浮かぶ船のように、物質は宇宙空間の海に漂う船に過ぎないのか。後者であれば、絶対時間を定義することは可能である。
仮定1: 宇宙空間は光速度で広がり続けている。
光子など質量がないものは光速で移動し続けるが、これは空間自体が光速度で広がっていることを意味する。質量のあるものはこの宇宙空間拡張に引っ張られて移動しているが、質量のせいで減速されている。