四次元空間
三次元の住人である我々が四次元の世界を想像するのは非常に難しい。なのでまず二次元の住人が三次元の世界をどう想像するのかを考えてみる。薄っぺらい紙のような二次元の世界に棲む住人を考える。二次元世界といってもいろいろある。ユークリッド幾何学が有効な真っ平らな板のような世界かもしれない。そのような世界に棲む住人は、三次元空間の存在に気づくのは無理かもしれない。しかし、所々がうねりを持って広がっている風呂敷のような空間の世界であればどうだろうか。つまり彼らの世界に曲率がゼロでない場所があってそのことに彼らが気付けば、三つめの次元の存在に気づくかもしれない。曲率がゼロではない、つまり平面でないということは、我々三次元の住民から見れば、その宇宙は三次元目の軸方向に歪んでいることを意味する(図1)。我々の世界においても同じことが言えるはずだ。三次元空間がアインシュタインが相対論で明らかにしたように曲率が0でない箇所があるということは、4つ目の空間軸があることを意味すると考えられる。しかしその4つ目の空間軸を我々は自由に通ることはできない。われわれが次元空間を自由に行き来することができるということは、具体的にどのようなことかを考えてみよう。
先に述べたように我々は少なくとも4次元空間の世界にいると考えられる。しかし我々は4次元目の空間軸を想像できない。それは4次元目の空間を通る光を認識できないからと考えられる。なぜ認識できないのか。再び二次元の住人を考察してみよう。彼らは三次元目の空間からやってくる光を認識できない。なぜできないのか。三次元軸方向の大きさを持たない二次元住人は三次元軸方向からの力を受けないと考えられる。力は質量つまり大きさに比例するからだ。力は光によって媒介されるから、力が働かない空間軸を通る光を認識できないのは自明である。我々にとっての4次元目の空間も同様に考えることができよう。つまり我々は4次元軸に対する大きさを持っていない。そのため、4次元軸からの力の作用を受けず、その方向からの光を認識できないと考えられる。
重力が空間を歪めることの意味
重力は時空を歪めることを相対論は示している。この重力の本当の意味は違うところにあるのではないか。つまり4次元軸方向の歪みを引き起こしていると考えるべきではないのか。4次元方向に空間が伸ばされるから、その成分だけ光の進路が歪み、その結果として時間の遅れが生じると解釈できるのではなかろうか。つまり4次元目の軸はアインシュタインが相対論で解釈した時間軸ではなく、本質は四番目の空間軸と理解した方が正しいのではなかろうか。重力場の作用により三次元空間の垂直方向の軸(4次元目の空間軸)が0でなくなったことにより光路が伸び、4次元空間を認識できない我々は、三次元平面における時間の速さが伸びたと解釈しているに過ぎないと考えることができる。4次元空間を創造するのが難しい我々の理解を容易にするために、二次元世界に置き換えて再度考察すると以下のようになる。図2は、二次元平面世界を真横から見た図である。図の窪んだところは、重力により三次元軸方向への歪みが生じていることを意味している。
我々の加速度膨張宇宙に倣い、二次元世界の膨張宇宙を考える。つまり球面状に形成された二次元世界だ。この二次元世界が加速度膨張しているということは、それを形成している球体自体が、三次元軸方向に膨らんでいることを意味している。球体の中心からの軸方向へ例えば等速で膨らんでいるとすると、その表面の二次元世界は球体半径の膨張速度の2乗で加速度膨張していることになる。この膨張の動力が例えば万有引力のような物質に作用する力によるものであるとすれば、質量の大きな物質はその膨張速度が遅れる可能性がある。これが空間の歪みの本質と私は考える。
4次元方向の力は三次元空間を歪ませる。我々はそれを力として認識できないが、その力により4次元軸方向へ伸びた空間の歪みを時間の遅れとして我々は認識するというわけだ。つまり時間は空間と同じ次元のものであるという認識は正しくない。時間は光の進む方向に一致しているというだけで、4次元軸の歪みが三次元世界の我々には時間の変化として見えるから、時間を4次元目の軸と見えるだけである。
以上の考察が真実であれば、重力は4次元方向にも働いていることになる。もしかしたら4次元方向に働く力が三次元世界では万有引力として見えているだけなのかもしれない。つまり万有引力は見せかけの力である可能性がある。4次元方向への空間の膨張に対する質点の抵抗(膨張の遅れ)が万有引力に見えているのかもしれない。